私のところにも不倫の法律相談はよく持ち込まれます。不倫をされたので、その相手方(浮気相手)を訴えたいや、逆に、不倫をしてしまって損害賠償請求をされたという方が来られます。私も約20年弁護士業務をしていますので、本当にいろいろなケースを経験しました。

 ただ、注意すべきは、「不倫=損害賠償請求が認められる」というわけではないということです。

 そもそも不倫により配偶者の浮気相手に対して、損害賠償請求が認められるのは、「夫婦間の貞操義務」や、「婚姻生活の平和を維持」を侵害する行為として民法709条の違法行為に該当すると考えられるからです。

 ただし、不法行為として成立するには、さらに、故意または過失(不注意)が必要になります。

 つまり、不倫により損害賠償請求が認められるには、浮気相手が、不貞行為の際に、既婚者であることを知っていたか、もしくは、本来であれば気づくべきであるけれど不注意で気づかなかったということが必要になってきます。

 実際、私の経験した事案でも、この故意や過失で争った事例がいくつかあります。

 「不倫」の問題が生じたときは、早合点することなく、弁護士等の専門家に相談することをお勧めします。